2026/08/30 16:16

軍用時計から受け継がれた「道具としての腕時計」

腕時計には、いろいろなデザインがあります。
高級感を前面に出したもの。
スポーツウォッチ。ダイバーズウォッチ。

そして、昔から変わらない魅力を持っているのが「ミリタリーウォッチ」です。




FREAK Watch Manufacturingの「baranta canadensis」も、その流れを汲んだ一本としてデザインをしました。





名前の「baranta canadensis」は、カナダガンの学名です。

カナダガンは、長距離を移動する渡り鳥で、その移動距離は24時間で約2400kmにも及ぶそうです。

そんな鳥をモチーフにしながら、FREAKが作ったのは、いかにも軍用時計らしい、シンプルで無駄のない時計。

でも、この時計の面白さは、単純に「ミリタリーっぽいデザイン」というところではありません。

なぜミリタリーウォッチが、こういう形になったのか。

そこを少し掘ってみると、この時計のデザインがより面白く見えてきます。



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腕時計は「戦場」から広まった

今では当たり前のように腕に時計をしていますが、昔からそうだったわけではありません。

腕時計が一般的になる以前、男性の時計といえば懐中時計が主流でした。



時間を確認するときには、ポケットから取り出して、文字盤を見る。

普段の生活なら、それで何も問題ありません。

ところが戦場では話が違います。




第一次世界大戦の頃、兵士たちは時間を確認しながら行動する必要がありました。

砲撃のタイミング、部隊の移動、攻撃の開始時間。

正確な時間を共有することは、作戦そのものに関わる重要なことです。

しかし、片手に武器を持ちながら、もう片方の手でポケットから懐中時計を取り出すというのは、あまりにも不便。





そこで登場したのが「トレンチウォッチ」です。

懐中時計を革のストラップなどで腕に固定した、いわば腕時計の原型。

戦場で使うために、必要に迫られて生まれたスタイルでした。第一次世界大戦は、腕時計が軍隊に広く普及していく大きなきっかけになったと言われています。





つまり腕時計は、最初から「ファッションのため」だけに進化してきたわけではないんですね。

「両手を使えるようにする」

「一瞬で時間を確認できるようにする」

「過酷な環境でも壊れにくくする」

そんな必要性から、現在の腕時計の基本的なスタイルが作られていきました。



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ミリタリーウォッチの基本は「見やすいこと」

軍用時計を見ていると、ある共通点に気が付きます。

文字盤がシンプル。

数字が大きい。

黒い文字盤に白いインデックス。

針も見やすい。

余計な装飾がない。

これはデザインを簡素にしたかったからではなく、必要だったからです。




戦場では、ゆっくり時計を見る余裕があるとは限りません。

一瞬で「今、何時なのか」が分からなければ意味がない。

第二次世界大戦になると、軍用時計にはさらに明確な仕様が求められるようになります。

代表的なのがアメリカ軍の「A-11」や、イギリス軍の「W.W.W.」といった軍用時計です。


A-11 / WALTHAM製


W.W.W / CYMA製


特にイギリス軍のW.W.W.は、1940年代に軍用時計として求められる性能を明確にしたもので、後に「Dirty Dozen」と呼ばれる12社の時計メーカーが製造しました。


黒文字盤、アラビア数字、夜光付きの針とインデックス、丈夫なケースなど。

メーカーが違っても、軍が必要とする「見やすく、丈夫で、正確な時計」という考え方は共通していました。

現在のフィールドウォッチを見て「ミリタリーっぽい」と感じるのは、実はこうした歴史があるからです。



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大きなリューズにも意味がある

baranta canadensisを見ていて、個人的に好きなのが大きめのリューズ。

一見すると、ただのデザイン上のアクセントにも見えます。

でも、これもミリタリーウォッチの文脈を感じさせるディテールです。

軍用時計では、手袋をした状態でも操作しやすいことが重要でした。

時計を美しく見せるための小さなリューズではなく、

「ちゃんと掴める」

「ちゃんと操作できる」

ということが大切。



baranta canadensis / FREAK



baranta canadensisでは、この大きめのリューズとハック機能を組み合わせています。

リューズを引くと秒針が止まり、秒単位で時間を合わせることができる。

軍用時計において「正確な時間を共有する」ということを考えれば、この機能が重要だったことも分かります。

時計を数分早めておく、といった日常的な使い方とは少し違う。

部隊全員が同じ時間に合わせる。

そのために秒針まで止める。

そう考えると、普段何気なく使っているハック機能にも、ちゃんと歴史があるんです。



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「古い時計」をそのまま再現したわけではない

baranta canadensisの面白いところは、ヴィンテージの軍用時計をそのままコピーしたような時計ではないところです。

ケースは36mm。

素材は316Lステンレススチールですが、特殊な加工によってマットな質感に仕上げられています。

風防にはアクリルを採用。そしてカーキグリーンのスウェードNATOベルト。

この組み合わせが、かなり良い感じです。



新品なのに、どこか使い込んだ道具のような雰囲気があります。

ピカピカのステンレスケースに高級感のあるブレスレットを合わせるのではなく、少しマットなケースにカーキのベルト。

新品の時計なのに、最初から「道具感」がある。

このあたりは、FREAKらしいところだと思います。




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36mmというサイズも、実はちょうどいいサイズです。

最近の腕時計は大型化していて、40mmを超えるケースも珍しくありません。

それに比べると36mmというサイズは、かなり控えめ。

でも、昔の軍用時計を知っている人なら、このサイズに納得するかもしれません。

例えば第二次世界大戦期のイギリス軍W.W.W.では、35〜38mm程度のケースサイズが多く見られます。

大きすぎれば装備に引っ掛かる。小さすぎれば視認性が落ちる。

その間で「必要十分」を狙ったサイズが36mmケースというのがFREAKの答えでした。






一つ一つのディテールに「なぜこうしたのか」という理由がある。

そこが、この時計の面白いところです。



時計は時間を見るための道具。服も、本来は身体を守るための道具。

だからこそ、長く使えるものには、流行だけではない魅力があります。

古いミリタリーウォッチが今でも多くの人を惹きつけるのも、そこに「本当に必要だったもの」だけで作られた美しさがあるからなのかもしれません。

そんなことを考えながら腕に着けてみると、単なるミリタリーウォッチとは少し違って見えてくる一本です。




FREAK Watch Manufacturing
ORIGINAL WATCH -baranta canadensis-

ヴィンテージの雰囲気を持ちながら、今の生活でちゃんと使える。

そんな「道具としての時計」を探している人には、ぜひ一度手に取って見てほしい時計です。